1.減衰性能
音圧は時間の経過とともに徐々に低くなります。すなわち音が消えます。インテリアル( Fe-Al 系合金)は、音圧の低下が、他の素材と比較して早くなっています。
(図表2:音圧と時間) 各種素材に鉄球を落下させ、音圧と時間の関係を調べた。
インテリアルの減衰性の高さが示された。(図表3:音の響き) 横軸は振幅、縦軸は時間を示す。
普通鋼と比較して格段に優れた減衰性ある。
2.振制特性
インテリアルは、鉄系制振合金では最も制振性能が高く最大損失係数は 0.07を発現します。制振性能は、特に低い周波数帯及び歪振幅の小さい振動に特に有効です。
(図表4:周波数と制振性能) 低い周波数ほど効果は高くなります。
(図表5:歪振幅と制振性能) 歪振幅の小さい振動ほど高い性能を示します。
塑性変形が生じない範囲で効果があります。
損失計数と振幅歪みの関係(縦軸は損失計数、横軸は振幅歪10-6)
3.制振性能試験
○ 制振機能に関する特徴
・剛性が高く、歪振幅の小さい領域で制振効果が大きい。
・温度の高い領域(実測300℃)でも制振性能が劣化しない。
○ 評価方法
基本的に測定は「JISG0602制振鋼板の振動減衰特性試験方法」にしたがって行うハンマリング法で測定する。
(図表6:ハンマリング法図解 )
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片持ち梁の減衰法による損失係数測定試験
FeAL 材と SP 材の損失係数を計測し、 FeAL 材の振動に対する位置づけ及び優位性について立証する為の試験を目的とする。今回使用する設備が HGT 仕様と異なるため、 FeAL 材単体と SP 材単体の1次共振の減衰計測から損失係数を算出し各材料を比較する。中央加振法以外での損失係数測定方法の測定技術見聞を目的とする。
試験方法 → 片持ち梁法
試験片の保持方式 → 片端固定
試験片の加振方法 → 試験片端を指ではじく
損失係数算出法 → 減衰法
試験装置(図表6参照)
振動減衰能の測定は、横振動法を用いた。
図 1 に示す様に一端より 130mm の位置に歪ゲージを接着し、これを歪計に接続。試料の一端を万力で固定して自由長 150mm の片持ち梁として、自由振動を発生させ上記歪ゲージから検出した梁としてこれに自由振動を発生させ、上記歪ゲージから検出した歪減衰曲線を求めた。また、加速度計も取り付けて加速度からの減衰曲線も求めた。加速度計の取り付け位置は 2 次モードの影響を極力抑えるため、2 次モードで節となる位置 (0.774L) に取り付けた。
*自由振動は初期変位 15mm から指で試料をはじいた。
*室温 21 ℃ 湿度 53%
*試験片寸法: 0.8 × 30 ×× 300
損失係数 (n) の算出は、まず、図 2 に示す減衰自由振動波形から応答変位の極大値 X1 、 X2 、 c 、 Xn を読み取り、式 (1) より対数減衰率 ( δ ) を求める。
δ =1 / n-1 × Log(x1 / Xn) 式 (1)
求めた対数減衰率 ( δ ) を式 (2) より損失係数 ( η ) を求める。
損失係数 ( η )= δ / π 式 (2)
(図表8:減衰曲線)
4.温度特性
インテリアルは、高温でも高い制振性能を保持します。摂氏300℃までは制振性能は劣化しません。
(図表6:温度と制振性能) 試験データは300℃までの制振性能を実証しています。